Amberは、カリフォルニア大学のコールマン教授らのグループによって生体分子のために開発された、モデリングおよび分子力学と動力学計算シミュレーションプログラムのパッケージです。
溶媒水分子の配置や電荷のフィッティングを行なうビルダーモジュールなどのプログラムが多数用意されています。また、NMRリファインメントを実行したり、解析ツールを用いて動力学計算のトラジェクトリー解析を行ったりできます。Amberは独自の有用性の高いパラメーターを持ち、近年このプログラムを用いた論文が多数報告されています。
Amberは、無償のAmberToolsと組み合わせて使用します。
Amber技術サポート講習会も承っています。

Amber23 cover

Amber, AmberToolsの主なプログラム

sander: 分子動力学計算を行うメインプログラムです。NMRのNOE測定から得られる距離拘束、ねじれ角拘束、化学シフトとNOESY強度などから得られるペナルティ関数を基にしたNMR構造の精密化が可能です。
pmemd: sanderの計算速度を大幅に改良したものです。並列化効率も大きく向上しています。
Amberに含まれており、Xeon PhiやGPUがサポートされています。
nabc/sff: 分子の構築を行うプログラムで、一般化Born、Poisson-Boltzmann、3D-RISM仮想溶媒モデルを用いた、MDの実行、拘束の適用を行うツールです。
antechamber, MCPB.py: 一般有機分子や中心金属の力場パラメーターセットの作成プロセスを自動化します。出力されるパラメーターは、タンパク質や核酸用のものと同時に使用できるようにデザインされています。
LEaP, parmed: 基本的なモデルを構築し、動力学計算用の座標及びトポロジー入力ファイルを作成する機能を持ちます。
sqm, Quick: 半経験的、DFTB、および第一原理量子化学コードで、スタンドアロンまたはQM/MMでの計算が可能です。
pbsa: Poisson-Boltzmannモデルを数値的に計算します。
3D-RISM: 溶媒和の積分方程式モデルを解きます。
gem.pmemd: 高度な力場を使用するためのツールです。
mdgx: 主にパラメーターフィッティングにより、Amber分子動力学の限界を押し広げるためのプログラムです。カスタマイズ可能な仮想サイトと実溶媒MDも可能です。
cpptraj, pytraj: MDトラジェクトリーを解析し、様々な計算を行えます。基準構造からのRMS偏差の計算、水素結合の解析、時間相関関数、動径分布解析など多数の解析が行えます。
MMPBSA.py: MDトラジェクトリーの後処理を自動化するスクリプトで、連続体溶媒モデルでのエネルギー解析を行えます。エネルギーを別々の残基からのエネルギー断片に分解したり、コンフォメーション間の自由エネルギー差を見積れたりできます。
fe-toolkit: 錬金術的自由エネルギーシミュレーションを解析するためのツールです。