結晶構造最適化計算のキーワード
キーワード | オプション | 説明 |
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CRYSTAL | 結晶計算を行う。 | |
SPACE_GROUP= |
P1 P21 P212121 etc... |
空間群をHermann-Mauguin記号で指定する。 詳細は、チュートリアルを参照してください。 |
SPGP_SUBINFO= |
単斜晶系の空間群を設定する。 デフォルト:B |
|
B | B軸がunique axisの単斜晶セル(α, γ= 90.0°) | |
C | C軸がunique axisの単斜晶セル (α, β= 90.0°). | |
原点の設定(デフォルトは‘1’): | ||
1 | origin choice 1 | |
2 | origin choice 2 | |
三方晶系の空間群を設定する。 デフォルト:H |
||
R | 菱面体晶軸を用いた三方晶系(a=b=c, α=β=γ≠90°,<120°) | |
H | 六方晶系軸を用いた三方晶系(a=b≠c, α=β=90°,γ=120°) | |
LATTICE_CONSTANT= | (a,b,c,α,β,γ) | 格子定数を設定する。 |
CRYSTAL_OPTIMIZATION= |
結晶構造最適化の設定を行う。 デフォルト:ALL |
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MOL | 結晶内分子の構造、回転、並進を最適化する(格子定数は変化しない)。 | |
RIGID | 結晶内分子の回転、並進、および格子定数を最適化する(分子構造は変化しない)。 | |
ALL | 結晶内の分子の構造、回転、並進、および格子定数を最適化する。 | |
NONE | 構造最適化を行わない。 | |
REMOVE_NEV= |
YES NO |
最適化後の構造が虚振動を持つ場合、構造変形を行い、再度、構造最適化を実施して平衡構造を得る。 (最適化手法に完全対角Newton-Raphson法を選択した場合に有効。) デフォルト:NO(再最適化は行わない) |
CRYSTAL_RADIUS= | f.ff |
分子間相互作用計算の範囲を指定する。 このキーワードで数値を設定すると、「VDW_CUTOFF=」および「COULOMBIC_CUTOFF=」に反映される。 デフォルト:20.0(Å) |
VDW_CUTOFF= | f.ff |
vdW分子間相互作用計算のためのカットオフ値を指定する。 デフォルト:20.0(Å) |
COULOMBIC_CUTOFF= | f.ff |
クーロン分子間相互作用計算のためのカットオフ値を指定する。 デフォルト:20.0(Å) |
COULOMBIC_TYPE= |
EWALD CUTOFF |
クーロン相互作用計算の方法を指定する。 EWALD:Ewald法を用いる CUTOFF:カットオフ法を用いる デフォルト:EWALD |
EWALD_RECIP_CUTOFF= | f.ff |
Ewald計算における逆格子空間のカットオフ値を指定する。 デフォルトでは、実空間のカットオフ値を元に自動的にプログラムが決める。 |
EWALD_PARAM= | f.ff |
Ewald計算における収束パラメーターを指定する。 デフォルトでは、実空間のカットオフ値を元に自動的にプログラムが決める。 |
EWALD_PRECISION= | f.ff |
Ewald計算における収束パラメーターと逆格子空間のカットオフ値は、実空間のカットオフ値を元に、エネルギー値がここで指定した値より小さくなるよう、それぞれ自動に決定される。 デフォルト:1.0E-8 |
EWALD_SURFACE_TERM= |
ON OFF |
Ewald法におけるSurface項を計算に含めるかどうかを指定する。 デフォルト:OFF(含めない) |
INTER_ENERGY= |
HALF FULL |
分子間相互作用計算方法を指定する。 HALF:1/2を適用する FULL:1/2を適用しない デフォルト:HALF |
CRYSTAL_RESETUP_CONVERGE= | ff.ff |
最適化中に行われる結晶構造の再構築を制御する。グラジエントのRMS値が指定した閾値(ff.ff kcal/mol/angs)未満の場合、結晶構造の再構築を行わずに次の繰り返し計算に入る。 デフォルト:1.0E-10 |
SUPERCELL= | (l,m,n) |
スーパーセルを創出する。 スーパーセルとは、例えば “(2,2,1)”とした時、A軸方向に2つ分、B軸方向に2つ分単位格子を生成し、そこに含まれる全原子をまとめた単位格子のこと。この単位セルを用いてP1対称性で結晶計算を行う。 |
MAKEP1CELL |
単位格子全体を非対称単位とし、P1対称性で計算する。 “SUPERCELL=(1,1,1)”に対応。 |
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CIF_BOND= | (I,J,K) |
I-J間結合を結合タイプKに設定する K=1: 単結合 K=2: 二重結合 K=3: 三重結合 例:CIF_BOND=(1,2,2) |
CIF_FCHARGE= | (I,K) |
I番目の原子に形式電荷Kを置く。 例:CIF_FCHARGE=(1,-1) |
BOND_LENGTH= | (m,I,J,ff.ff ) |
結合長を指定する。 m=0の場合、IとJはシリアル番号で、I-J間距離をff.ffに変換する。 m=1の場合、IとJは原子番号で、対応する全ての結合の長さを変換する。例えば “(1,8,1,0.983)”と指定した場合、全てのO-H間距離を0.983に変換する。 |
HYGEN_LENGTH | 水素原子位置の調整のため、水素原子との結合距離を全て力場の結合長に変換する。 | |
RADIATION= |
CU MO etc... |
X線源の元素を設定する。 CU: 銅Kα1(波長:1.54059290 Å) MO: モリブデンKα1(波長:0.70931715 Å) デフォルト:CU |
RADIATION_WAVELENGTH= | ff.ff |
X線源の波長を設定する。 例:RADIATION_WAVELENGTH=1.54059290 (銅Kα1と同じ) |
TWOTHETA= | (f1,f2,f3) |
2θの範囲と刻み幅を指定する(単位は°)。 f1: 始点、f2: 終点、f3: 刻み幅 デフォルト: TWOTHETA=(0.0,50.0,0.02) |
INTENSITY_SCALING= | ff.ff |
回折ピークの強度の最大値を指定する。 デフォルト:10000.0 |
PVOIGT_ETA= | f.ff |
擬フォークト関数中のローレンツ因子を設定する。 デフォルト:0.5 |
PVOIGT_HK= | f.ff |
擬フォークト関数の半値全幅を設定する。 デフォルト:0.1 |
PRESSURE_EFFECT |
圧力下の結晶計算を実行する(三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系のみ適用可)。 エネルギーは、エンタルピー(H = Ecrystal + PV, あるいは H = Elattice + PV)により評価される。 |
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PRESSURE= | f.ff |
圧力を指定する(単位は GPa)。 本キーワードを使用した場合、同時に PRESSURE_EFFECTを指定する必要はない。 デフォルトの圧力:0.0001(GPa) |
USE_CHARGE_GROUP= |
ON OFF |
電荷グループ単位によるカットオフを行うかどうかを指定する。 デフォルト:OFF(行わない) |
CRYSTAL_CHARGE_GROUP= | (dd,dd) |
電荷グループを設定する。例えば、非対称単位中の分子が3分子であり、すべてを1つの電荷グループとする場合は以下のようにする。 CRYSTAL_CHARGE_GROUP=(1,1) CRYSTAL_CHARGE_GROUP=(2,1) CRYSTAL_CHARGE_GROUP=(3,1) デフォルト:中性分子は、それぞれ1つの電荷グループとなり、分子イオンは、まとめて1つの電荷グループとなる。 |
CRYSTAL_FIXED_MOL= |
n EXCLUDE_HYDROGEN |
CRYSTAL_OPTIMIZATION=MOLによる結晶構造最適化の際、非対称単位中のn番目の分子構造・位置を固定します。
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結晶構造探索計算のキーワード
キーワード | オプション | 説明 |
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CRYSTAL_SEARCH | 結晶構造探索計算を行う。 | |
CSP_MODE= | CRYSTAL |
実験で得られた結晶構造を入力として用いる場合、CSP_MODE=CRYSTALを設定する。 この場合、試行結晶構造は非対称単位中の分子を回転させることで創出する。空間群、格子定数、非対称単位中の分子の位置は実験データが設定される。 |
MOLECULE | 出発構造の入力データとして、分子あるいは分子複合体を用いる場合には、CSP_MODE=MOLECULEを設定する(デフォルト)。 | |
CSP_SEARCH= | ENERGY | 探索により得られた結晶構造を、エネルギー順に並べる(デフォルト)。 |
POWDER_PATTERN | 得られた結晶構造を、あらかじめ設定した粉末パターンとの類似性を元に並べる。 | |
CSP_OPT= |
探索における構造最適化手法を設定する(「OPT=」でも可)。 デフォルト:NEWTON |
|
NEWTON | 完全対角Newton-Raphson法を用いる。 | |
CONGRD | 共役勾配法を用いる。 | |
CONGRD-NEWTON | 共役勾配法と完全対角Newton-Raphson法を用いる。共役勾配法から完全対角Newton-Raphson法への切り替えの閾値は「CSP_CNOPT=」により設定する。 | |
CSP_CNOPT= | (Gconverg,Xconverg) |
「CSP_OPT=CONGRD-NEWTON」キーワードを指定した場合、構造最適化において、グラジエント(Gconverg)と変位(Xconverg)がここで指定する閾値以下になったときに、共役勾配法から完全対角Newton-Raphson法へ切り替える。 デフォルト:(1.0E-1,1.0E-2) |
CSP_LATTICE= | (a,b,c,α,β,γ) | 試行結晶構造の格子定数をこの値に固定する。 |
CSP_LATTICE_RESTRAIN | 格子定数を最適化しない。 | |
CSP_LATTICE_NORESTRAIN | 格子定数を最適化する(固定しない)。 | |
CSP_SPGP= |
P1 P21 P212121 etc... |
探索する空間群の対称性を指定する。 例えば P21/c、P212121、P21を探索したい場合は、“CSP_SPGP=(P21/C,P212121,P21)”とする。 デフォルト: CSP_SPGP=(P21/C,P212121) |
CSP_MAX_CRYSTAL= | n |
探索計算に用いる試行結晶構造の数を指定する。 デフォルト:200 |
CSP_LIMIT_MAXCRYSTAL= | n |
試行結晶構造の数の上限値を指定する。 デフォルト:30000 |
CSP_RSTEP= | ff.ff |
分子を回転させる角度の刻み幅を指定する。 デフォルト:30.0 |
CSP_RUN_SEED= | -n |
乱数のシードを設定する(負の整数を指定する)。 デフォルト:-1000 |
CSP_PREOPT= |
ON OFF |
結晶構造探索計算を行う前に入力構造を最適化するかどうかを指定する。 デフォルト:ON |
CSP_DEBUG= | INITIAL | 創出した初期構造をCIF形式で出力する。 |
FINAL | 最適化により得られた構造をCIF形式で出力する。 | |
CSP_ROT_MODE= |
分子の回転の手順を指定する。 回転の刻み幅はCSP_RSTEPで指定する。 デフォルト:GRID |
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RANDOM | 非対称単位中の分子をランダムに回転させる。 | |
GRID | 非対称単位中の分子を順に回転させる。 | |
CSP_AUS_MODE= |
分子の並進位置の決め方を指定する。 デフォルト:FULL |
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RANDOM | 並進位置をランダムに指定する。 | |
FULL | 指定した空間群で考慮できる全ての並進位置を指定する。 | |
CSP_RESTART | 途中で強制終了した探索計算を元に再度計算を始める。 | |
CSP_REOPT= |
ON OFF |
再計算を始める前に、すでに求められている結晶構造を再度最適化するかどうか指定する。 デフォルト:OFF |
CSP_ROT_UNIT= |
デフォルト: CSP_ROT_UNIT=MOLECULE (CSP_MODE=CRYSTAL指定時) CSP_ROT_UNIT=COMPLEX (CSP_MODE=MOLECULE指定時) |
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MOLECULE | 非対称単位中の分子を個別に回転させる。 | |
COMPLEX | 非対称単位中の分子全てをまとめて回転させる。 | |
CSP_NOROT_AXIS= | (n1,n2,n3) |
各軸で回転させるかどうかを指定する。n1がx軸、n2がy軸、n3がz軸で、1を指定するとその軸周りは回転しない。 例えばx軸周りを回転させないようにするには、 CSP_NOROT_AXIS=(1,0,0) とする。 |
CSP_NOROT_MOL= | n | 非対称単位中のn番目の分子を回転させないようにする。 |
CSP_ROT_MOL= | n | 非対称単位中のn番目の分子を回転させる。 |
CSP_NOROT_ALLMOL | 非対称単位中の全ての分子を回転させないようにする。 | |
CSP_ROT_ALLMOL | 非対称単位中の全ての分子を回転させる。 | |
CSP_PXRD_COMPARISON= |
SIMILARITY RWP |
SIMILARITY:参照および計算の粉末X線回折データの比較方法を選択する。Similarity計算はGELDER法(J. Comput. Chem. 22, 3, 273, 2001)を利用。 RWP:Rwp因子を用いる。 デフォルト:SIMILARITY |
SIMILARITY_L= | ff.ff |
GELDER法による粉末X線回折データのSimilarity計算におけるパラメーター𝓁の値を設定する。 デフォルト:2.0 |
CSP_GROUPING= |
YES NO |
結晶構造探索で得られた構造を、粉末X線回折パターンのSimilarityに基づいて、グループ分けします。 Similarity計算は、GELDER法(J. Comput. Chem. 22, 3, 273, 2001)を利用します。 デフォルト:NO |
CSP_GROUPING_GLIMIT= | ff.ff |
指定値より大きなSimilarityを持つ構造群が1つのグループとなります。 デフォルト:0.8 |
CSP_GROUPING_ELIMIT= | ff.ff |
最小エネルギー値を0.0とした時の、相対エネルギー値を指定します。指定値の範囲に含まれる結晶構造が、グループ分けの対象となります。 本キーワードは、CSP_SEARCH=ENERGYの場合に有効です。 デフォルト:5.0 |
CSP_GROUPING_SLIMIT= | ff.ff |
指定値よりも大きいSimilarity値を持つ結晶構造が、グループ分けの対象となります。 本キーワードは、CSP_SEARCH=POWDER_PATTERNの場合に有効です。 デフォルト:0.7 |
CSP_GROUPING_L= |
GELDER法による粉末X線回折データのSimilarity計算におけるパラメーター𝓁の値を設定します。グループ分けの際に用いられます。 デフォルト:0.6 |
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CSP_DCHK= |
YES NO |
結晶構造探索で得られた構造について、密度の低い構造を除外します。 デフォルト:YES |
結晶表面解析キーワード
キーワード | オプション | 説明 |
---|---|---|
CRYSTAL_PLANE= | (h,k,l) |
結晶面(hkl)を指定する。 例:CRYSTAL_PLANE=(1,0,0) |
CRYSTAL_PLANE_ANALYSIS_TYPE= |
SURFACE MOLECULE |
結晶表面の解析方法を指定する。 SURFACE:比表面エネルギーを算出 MOLECULE:分子の相互作用エネルギーを算出 デフォルト:SURFACE |
CRYSTAL_PLANE_STATE= *a) |
IN ON |
エネルギー計算の対象となる分子の状態を指定する。 IN:指定結晶面を構成する分子を指定 ON:指定結晶面上に存在する分子を指定 デフォルト:IN |
CRYSTAL_PLANE_TRANS= *a) | ff.ff |
界面の位置を設定する。設定が無い場合はプログラムが自動的に数値を設定する。 例:CRYSTAL_PLANE_TRANS=1.0 |
CRYSTAL_PLANE_BASE= *a) | n |
エネルギー計算の対象となる分子を指定する。設定が無い場合はプログラムが自動的に選択する。 例:CRYSTAL_PLANE_BASE=1 |
CRYSTAL_PLANE_PRINT= *a) |
ON OFF |
エネルギー計算の対象となる分子候補の情報を出力する。 ON: 出力する OFF: 出力しない デフォルト:OFF |
a) CRYSTAL_PLANE_ANALYSIS_TYPE=MOLECULEを指定した場合のみ利用可能